こもれび日記

泥だんごのはなし

私の息子が幼稚園児だった頃… 3年間通して夢中になっていた遊びがありました。 入園間もない頃、年長のお兄さんたちが砂場で遊んでいるのを真似てお団子を作り、大事そうに持って帰って来ましたが、砂のお団子はすぐに崩れてしまいました。 その日からが、彼の研究と挑戦の始まりでした。 次に作ったのは「土」のお団子でした。小さな手で丸めた作品は、いびつだった形が日に日に精度を増し、まん丸な形に近づいていきます。先生の話によると、毎日違う場所の土を使い、「ここの土が一番いい。」なあんて、陶芸家のようなことを言っていたそうです。 そして、吹き溜まりの埃を表面につけて磨き上げることを覚えました。ほんとにテカテカに光っているんです。 一つの挑戦としてだんだん大きなものを作るようになり、両手に収まりきれないくらい大きな作品を極めたと思ったら、次に挑戦したのはうさぎの糞ほどの小さな粒団子。これは、両手のひらの間に挟んで、感覚だけでコロコロ転がすんですが、力を入れすぎると楕円になってしまいます。まん丸に仕上げるのは、とても難しい作業だということが、一緒にやってみて初めてわかりました。 そして、卒園の日が近づいた冬の日、いつものようにバスから降りてきた息子が、うれしそうに「見て~!」と言って、持っていた泥だんごを放り投げました。するとびっくり!! 泥だんごは壊れるどころか、2,3回アスファルトの上を弾んで、転がっていったのです。 「どうやって作ったの??」と目を丸くしている私に、「ひみつ~」と得意顔。 でも、何日か後に幼稚園にお迎えに行った時、見てしまいました。小さくうずくまって、焼却炉からかき出された「灰」を土に練りこんでいる彼を…。 弾む泥だんごの正体はこれだったのか!と、感動したのを覚えています。 子供の好奇心て、時に親の想像を遥かに超えることがありますよね。その好奇心と探究心、試行錯誤する体験を大切にしていきたいなあ…と当時思ったことをふっと思い出しました。 なかまち

2012年5月23日